AIによる非定型的業務処理 vs RPAによる定型的業務処理

「業務処理の自動化」(ロボット化)を追求するRPA(Robotic Process Automation)とAIとの関連をどのように考えるかは見解が分かれるところである。ここでは、ChatGPTが与えたプロンプト文に対して「迎合」的な回答を生成することを見ていくことにしよう。

1.RPA=「定型的業務処理」、AI=「非定型的業務処理」とする立場からのプロンプト文およびそれに対する回答
与えたプロンプト文

下記Web記事では、「AIを利用し非定型的業務に対応する機能はRPAとは分けて整理される事が一般的」であるとしています。こうした見解が適切かどうかに関して、RPA(Robotic Process Automation)の専門家の立場からの詳しい検討をお願いいたします。

https://www.nri.com/jp/knowledge/glossary/rpa.html

 

ChatGPT4oによる回答
https://chatgpt.com/share/676a9613-cb94-800f-9e9b-6938af85d53f

上記のプロンプト文に対する回答結果は次の通りである。参考資料として与えたWeb記事は「「定型的かつ繰り返し型の作業」の自動処理化を目的したものがRPAであるという立場に立つものであるためか、生成AIの回答は下記のようにそうした見解に沿ったものであった。

RPA(ロボティック・プロセス・オートメーション)は、主に定型的で繰り返しの多い業務を自動化する技術として発展してきました。一方、AI(人工知能)は、非定型的で複雑な業務への対応や意思決定支援に強みを持っています。そのため、これらの技術は目的や適用範囲が異なり、区別して整理されることが一般的です。
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RPAは、ユーザーインターフェースを通じて人間の操作を模倣し、複数のシステムやアプリケーション間での作業を自動化します。例えば、データの入力や転記、定型的なレポート作成などが該当します。これにより、作業時間の短縮やヒューマンエラーの削減が期待できます。

一方、AIは、機械学習や自然言語処理などの技術を活用し、パターン認識や予測、意思決定の支援を行います。これにより、非定型的な業務や複雑な問題解決に対応することが可能となります。

近年では、RPAとAIを組み合わせることで、より高度な業務自動化を実現する動きが見られます。例えば、RPAが定型的なデータ収集を行い、AIがそのデータを分析して意思決定を支援する、といった連携が考えられます。しかし、これらはそれぞれの技術の特性を活かした連携であり、技術的には明確に区別されています。

したがって、非定型的業務に対応するAIの機能をRPAとは別に整理する見解は、技術の特性や適用範囲を正確に反映しており、適切であると言えます。

 
2.RPAには、「定型的業務処理」型RAPと、「非定型的業務処理」型RPAの2種類があるとする立場からのプロンプト文およびそれに対する回答
与えたプロンプト文

下記Web記事では、RPAは「業務を自動化するシステムそのもの」を意味するものとし、「AIは、PRAなどのシステム内に組み込まれ、データに基づいた判断や作業の振り分けを行う機能のことを指す」として、「定型業務の自動化」を対象としAIを実装していないRPAをクラス1のRPAとするとともに、「非定型業務の自動化AI」を対象としAIを実装したRPAを非定型業務の処理対象が一部にとどまるRPAを「EPA」(Enhanced Process Automation)と、非定型業務の処理対象が業務全体に渡るRPAを「CA」(Cognitive Automation)である、としている。
 こうした見解が適切かどうかに関して、RPA(Robotic Process Automation)の専門家の立場からの詳しい検討をお願いいたします。

https://www.soumu.go.jp/menu_news/s-news/02tsushin02_04000043.html
https://business.ntt-east.co.jp/bizdrive/column/difference_between_rpa_and_ai.html

 

ChatGPT4oによる回答

上記のプロンプト文に対する回答結果は次の通りである。参考資料として与えたWeb記事に基本的には沿った回答ではあったが、完全に「迎合」的であるわけではなく、「記事の分類が過去のRPAの段階的進化を示す上では有用ですが、現代のRPA業界の状況を完全に反映しているとは言い難いです。」という批判的視点からの回答となっている。

上記の議論に基づき、「RPA(Robotic Process Automation)」と「AI(人工知能)」の定義や分類について、RPAの専門家の立場から以下の点を詳しく検討します。


1. RPAとAIの役割の明確化

Web記事では、RPAを「業務を自動化するシステムそのもの」とし、AIを「データに基づいた判断や作業の振り分けを行う機能」としています。この区分は概ね妥当ですが、RPAとAIの関係性についてさらに詳しく検討します。

RPAの定義

RPAは主に、定型業務の自動化に使用されるツールやソフトウェアを指します。これには、特定のルールやシナリオに基づき、手作業で行われる単純作業を自動化する機能が含まれます。RPAは次の3つの主要な特徴を持ちます:

  • ルールベースのプロセスを実行
  • ユーザーインターフェースを模倣
  • ITシステム間の連携を補完
AIの定義

一方で、AIは学習・推論・最適化といった機能を持つ技術を指します。RPAとは異なり、AIは複雑なパターン認識や非定型的な意思決定をサポートします。RPAにAIを組み込むことで、非定型業務やより高度な自動化が可能になります。


2. RPAの分類(クラス1、EPA、CA)の妥当性

記事で提示されているRPAの分類は以下の通りです:

  1. クラス1(AIを実装していない定型業務の自動化)
  2. EPA(Enhanced Process Automation:一部非定型業務を対象とした自動化)
  3. CA(Cognitive Automation:全体的な非定型業務を対象とした自動化)

この分類の妥当性について以下の観点から検討します。

(1) クラス1のRPA

AIを実装していないRPAをクラス1と定義する点は、RPAの基本的な特性を明確化する上で適切です。クラス1は、定型業務(例えば、データ入力、定型レポート作成など)の自動化に特化しています。このレベルのRPAは導入が容易で、短期間で効果が得られるため、多くの企業で活用されています。

検討結果:妥当である。


(2) EPA(Enhanced Process Automation)

EPAは、部分的に非定型業務を対象としたRPAを指します。AI機能が組み込まれることで、画像認識、音声認識、自然言語処理などの機能が追加されます。例えば、請求書の文字認識(OCR)とデータ抽出を行うプロセスがこれに該当します。

しかし、「非定型業務の処理が一部にとどまる」という基準が曖昧です。どの程度の非定型業務が含まれるかについての明確な定義が必要です。また、実際の運用においては、EPAとCAの区別が不明確になるケースが多く見られます。

検討結果:概ね妥当だが、基準の明確化が必要。


(3) CA(Cognitive Automation)

CAは、AIを活用して非定型業務を全般的に処理するRPAを指します。例えば、複数のデータソースを分析し、最適な意思決定を行うプロセスがこれに該当します。この分類は理論的には適切ですが、現実的にはCAの導入には以下の課題があります:

  • AIモデルのトレーニングに必要な高品質データの確保
  • 実装コストの高さ
  • AIの判断に関する透明性(Explainability)の確保

また、現在の技術では「業務全体にわたる完全な非定型業務の自動化」は理想に近く、CAが適用できる範囲は限られています。

検討結果:理論的には妥当だが、現実的な導入は難しい場合が多い。


3. RPAの進化とAIの統合

現代のRPAのトレンドとして、AIの統合は不可欠です。以下のポイントを考慮する必要があります:

  • RPAとAIの区分は曖昧化しており、多くのRPAツールにはAI機能が標準搭載されつつあります。
  • 「Intelligent Process Automation(IPA)」という概念が普及しており、EPAやCAのような細分化よりも「AIを活用した全体的なプロセス改善」が重視されています。

したがって、記事の分類が過去のRPAの段階的進化を示す上では有用ですが、現代のRPA業界の状況を完全に反映しているとは言い難いです。


4. 結論

記事で述べられているRPAの分類(クラス1、EPA、CA)は概ね妥当であり、RPAの進化を理解する上で有用です。ただし、以下の改善点が挙げられます:

  1. EPAとCAの基準をより明確に定義する必要がある。
  2. 現代のRPAでは、AI統合が標準化しているため、分類自体が実務においてやや時代遅れとなっている可能性がある。
  3. より広範な「Intelligent Process Automation(IPA)」の視点を取り入れることで、現代のRPAとAIの進化を包括的に捉えることができる。

これらを踏まえ、RPAとAIの役割をさらに発展させる議論が求められます。

Written with StackEdit.

3.RPA=「定型的業務処理」、AI=「非定型的業務処理」とする立場からのプロンプト文を上記に続いて与えた場合の回答
上記の2と同じセッション内で、下記のように最初と同じプロンプト文を引き続き与えた。

下記Web記事では、「AIを利用し非定型的業務に対応する機能はRPAとは分けて整理される事が一般的」であるとしています。こうした見解が適切かどうかに関して、RPA(Robotic Process Automation)の専門家の立場からの詳しい検討をお願いいたします。

https://www.nri.com/jp/knowledge/glossary/rpa.html

 

こうした場合には、生成される回答がコンテクスト依存的であるために上記2と同じような立場からの回答となっている。すなわち、下記のように、「この記事の見解は特定の文脈では有効であるものの、現代のRPAの実態を完全に反映したものとは言い難いです。今後は、RPAとAIの統合的な進化を踏まえた視点で議論を展開することが望ましいと考えられます。」としている。

上記の記事における「AIを利用し非定型的業務に対応する機能はRPAとは分けて整理されることが一般的である」という見解について、RPA(Robotic Process Automation)の専門家の立場から検討します。


1. 記事の見解の背景とその意図

この記事が示す見解は、RPAとAIの役割や範囲を明確化することで、技術選定や導入検討を行いやすくする意図があると考えられます。この背景には以下のポイントが含まれます:

  • RPAは基本的に定型業務の自動化を対象としたツールとして発展してきた。
  • AIは、パターン認識や予測、意思決定など、非定型業務に対応する技術として位置付けられる。

この記事では、RPAとAIを明確に分けることで、それぞれの得意分野を整理し、適切な活用方法を提示しようとしていると考えられます。


2. 見解が適切かどうかの検討
(1) 技術的な視点

RPAとAIを分けて考えることには一定の妥当性があります。以下の理由から、この見解には技術的な根拠があるといえます:

  1. RPAの特性

    • RPAは、ルールベースで定義されたプロセスに従い業務を自動化する技術です。
    • 主にデータの移動、定型的な操作、決まったルールに基づく処理を得意としています。
  2. AIの特性

    • AIは、学習や推論、予測を可能にし、非定型業務や判断を含む複雑なタスクを処理します。
    • 例えば、自然言語処理(NLP)、画像認識、音声解析といった非定型タスクを支える技術です。

結論:技術的にはRPAとAIを分けて考えることは適切です。ただし、次の「統合的視点」も考慮する必要があります。


(2) 統合的な視点

現在、多くのRPAツールがAI技術を取り込み、いわゆる「Intelligent Automation(IA)」または「Intelligent Process Automation(IPA)」と呼ばれる次世代自動化ツールへ進化しています。この観点からは、RPAとAIを完全に分けて考えるのではなく、「RPAにAIが統合された形」を現代的な理解として捉えるべきという意見もあります。

RPAとAIの融合事例

  • AIによるOCR機能を活用し、文書から非構造化データを抽出し、そのデータをRPAが処理する。
  • AIチャットボットが収集した顧客問い合わせ内容をRPAで処理フローに引き継ぐ。
  • 機械学習モデルを用いて、データ分類や予測を行い、その結果に基づいてRPAが次のアクションを実行する。

これらの事例では、RPAとAIの区別はもはや明確ではなく、むしろ一体化していると言えます。このため、RPAとAIを分けて整理する見解は、実務の現場では必ずしも適切でない場合があります。


(3) 導入・運用の視点

企業がRPAやAIを導入する際に、それぞれを分けて考えることは、導入プロセスや責任範囲を明確化する上で有効な場合があります。

  • RPA:コスト削減や効率化を目的としたツール。比較的短期間で効果を実感できる。
  • AI:データ駆動型の意思決定や非定型業務の高度化を目指す技術。導入には時間やリソースが必要。

しかし、これも段階的な考え方であり、AIがRPAに統合されつつある現在では、運用レベルで両者を分けることが難しくなるケースが増えています。


3. 課題と改善提案

記事の見解には一定の妥当性がありますが、以下の課題も考慮する必要があります。

  1. 曖昧な境界線

    • 実際の業務では、定型業務と非定型業務の区分が明確でないことが多い。
    • RPAとAIの機能が統合されている場合、区分が現場で混乱を招く可能性がある。
  2. 技術の進化

    • 現代のRPAツールには、AI機能がデフォルトで組み込まれているものが多い。
    • そのため、RPAとAIを分ける議論自体が古いアプローチとなるリスクがある。

4. 結論

「AIを利用し非定型的業務に対応する機能はRPAとは分けて整理されることが一般的である」という見解は、RPAとAIを導入・活用する初期段階においては適切と言えます。ただし、次の点を考慮すると、限界があると言えます:

  • RPAとAIの融合が進んでいる現代において、両者を明確に分けることは実務上困難。
  • 実務では「Intelligent Process Automation(IPA)」という包括的な視点が必要。

したがって、この記事の見解は特定の文脈では有効であるものの、現代のRPAの実態を完全に反映したものとは言い難いです。今後は、RPAとAIの統合的な進化を踏まえた視点で議論を展開することが望ましいと考えられます。

RPA関係Web記事

  1. 田村直也(2017)「RPA (ロボティックプロセスオートメーション)による定型業務からの解放」IBM>Smarter Business, 2017.03.15
    https://www.ibm.com/blogs/smarter-business/business/rpa/

     

  2. 総務省(2018)「RPA(働き方改革:業務自動化による生産性向上)」M-ICTナウ,Vol.218(2018年5月号)
    https://www.soumu.go.jp/menu_news/s-news/02tsushin02_04000043.html
    https://www.soumu.go.jp/main_content/000553101.pdf

     

  3. NTT東日本(2019)「RPAとAIの違いとは?業務効率化のためのRPA活用事例4選」NTT東日本>BizDrive、2019/1/31
    https://business.ntt-east.co.jp/bizdrive/column/difference_between_rpa_and_ai.html

    本記事は、総務省のメールマガジン「RPA(働き方改革:業務自動化による生産性向上)」M-ICTナウ,Vol.218(2018年5月号)の記事に基づき、「人間が教えたルールはもちろん、AIを搭載し自律的に判断できる、より高度なRPAも存在する」という立場に立つ解説である。
     本記事では、RPAは「業務を自動化するシステムそのもの」を意味するものとし、「AIは、PRAなどのシステム内に組み込まれ、データに基づいた判断や作業の振り分けを行う機能のことを指す」としている。
     そうした立場から下記のように、「定型業務の自動化」を対象としAIを実装していないRPAをクラス1のRPAとするとともに、「非定型業務の自動化AI」を対象としAIを実装したRPAを非定型業務の処理対象が一部にとどまるRPAを「EPA」(Enhanced Process Automation)と、非定型業務の処理対象が業務全体に渡るRPAを「CA」(Cognitive Automation)である、としている。

    クラス 主な業務範囲 具体的な作業範囲や利用技術
    クラス1
    RPA(Robotic Process Automation)
    定型業務の自動化
    • 情報取得や入力作業、検証作業などの定型的な作業
    クラス2
    EPA(Enhanced Process Automation)
    一部非定型業務の自動化
    • RPAとAIの技術を用いることにより非定型作業の自動化
    • 自然言語解析、画像解析、音声解析、マシン ラーニングの技術の搭載
    • 非構造化データの読み取りや、知識ベースの活用も可能
    クラス3
    CA(Cognitive Automation)
    高度な自律化
    • プロセスの分析や改善、意思決定までを自ら自動化
    • ディープラーニングや自然言語処理
     

  4. 日立ソリューションズ(20229「RPAとAIは何が違う?RPAとAIの違いについて解説!」2022/3/30
    https://www.hitachi-solutions.co.jp/rpa/column/rpa_vol15.html

     

  5. 日立ソリューションズ(2024)「AI+RPAの新しい自動化の進め方ー日立ソリューションズの事例をご紹介」2024/11/6
    https://www.hitachi-solutions.co.jp/rpa/column/rpa_vol40.html

     

  6. 野村総合研究所「RPA(ロボティック・プロセス・オートメーション,Robotic Process Automation)」

  7. https://www.nri.com/jp/knowledge/glossary/rpa.html

    野村総合研究所による本用語解説では、「RPAは、基本的には設定されたプロセスを、設定された通りの順番で設定された通りに実行することしかできません」とし、「なんらかの判断を伴ったり、手順が毎回変わったりするような業務には適していない」としている。すなわち、「定型的かつ繰り返し型の作業」にはRPAが適しているが、その都度の判断処理を必要としたり、処理手順が状況に応じて複雑に変化するような非定型的処理業務には適していない、としている。
     「近年のRPAの中には 機械学習機能を兼ね備え、非定型的な業務に対応できるものも存在するが、こうした機能はRPAとは分けて整理される事が一般的」であるとし、AIを利用した業務処理とRPAを区別すべきである、という立場に立っている。
     

  8. 日本RPA協会

  9. https://rpa-japan.com/

    日本RPA協会とは、「国内外の関連団体との情報交換や協力のための活動を通じて、健全な業界の発展と、 RPAエコシステムの活性化により、仮想知的労働者(Ddigtal Labor)と人間が共存する世界を目指し、 世界のRPA市場における日本のプレゼンスの向上に貢献することを目的とする団体」である。
     
カテゴリー: AIに関する技術論的考察, RPA, 定型的業務処理vs非定型的業務処理 パーマリンク